今月のTOPICSデータ
「全国と異なる沖縄の賃料動向」
定点観測データ
Ⅰ 沖縄中古マンション流通レポート
・ 沖縄県中古マンション成約状況
・ 沖縄県中古マンション新規登録状況
・ 沖縄県中古マンション在庫状況
Ⅱ 沖縄県住宅着工戸数
今月のトピックス
「全国と異なる沖縄の賃料動向」
今回は、『おきぎん賃料動向ネットワーク調査』や消費者物価指数のデータを用いながら、沖縄県の賃料がどのように推移してきたのかを考察していきます。
タイプ別平均賃料の推移

上記は、おきぎん経済研究所が、県内の賃貸物件を取扱う不動産会社に対して、部屋タイプ別の賃料水準やその稼働状況などについてヒアリングを行った結果を集計したものです(毎年1回調査、2008年平成10年が第1回目)。なお、「共益費」や「駐車場代」などは含まれていません。また、2024年度の調査より、これまで【1R~1LDK】として集計していたものを【1R~1K】と【1DK~1LDK】に分離して集計されるようになりました。そのため、純粋に経年比較では、【2K~2LDK】と【3K~3LDK】のみで、ここでは、2024年度は【1R~1K】と【1DK~1LDK】の平均値を、【1R~1LDK】の参考値として推移を示しています。
これを見ると、2023年度までは若干の上昇基調が見られていましたが、2024年度は大きく上昇しました。特に、【2K~2LDK】は新築が+15,900円(+20.8%)、中古が+11,600円(+18.9%)と大幅に上昇しました。【3K~3LDK】でも新築、中古ともに約17%となるなど、ファミリータイプの住居の賃料上昇が顕著です。同調査別項目では、「賃貸管理会社ヒアリングによる現場感覚」として、需給バランスが「やや不足」「不足」と答えた割合が【2K~2LDK】で82%、【3K~3LDK】で99%と、供給が需要に追いつかず、賃料の上昇圧力が高まっているという側面も考えられます。
次に、消費者物価指数のデータから沖縄の賃料の長期推移を見ていきましょう。
消費者物価指数の前年度比推移(全国・沖縄地方)

コアCPIとは「生鮮食品を除く総合」で、天候に左右されやすい生鮮食品の影響を除いた物価の変動を把握するために用いられます。また、本データは1970年代まで遡ることができますが、ここでは2000年度以降のデータをまとめました。それでは見ていきましょう。まずコアCPIは全国も沖縄地方も同じように変動しており、2022年度以降急上昇しているのがわかります。近年の物価上昇が顕著に数字に現れています。一方で、家賃に関しては、全国では変動が大きくありません。これは、賃料には『硬直性』があり、市場の変動に対して変化しにくい性質があることを裏付けています。しかし、沖縄地方の家賃に関しては、全国よりも上昇の幅が大きいと言えます。その背景には、人口動態がよるものに加えて、観光産業の影響を受けて転勤者や移住者が多いこと等の沖縄県特有の要因がいくつか考えられそうです。
賃料は本来、短期的には変動しにくい性質を持ちますが、沖縄エリアでは、それを上回る構造的な変化が進んでいるとも言えるでしょう。今後もこうした動向を注視することは、賃貸経営や不動産投資の戦略を考える上で重要な視点となるでしょう。
定点観測データ
Ⅰ 沖縄中古マンション流通レポート
■沖縄県中古マンション成約状況
出典:(公財)東日本不動産流通機構
<成約件数>

<平均成約㎡単価>

■沖縄県 中古マンション新規登録状況
<新規登録件数>

<平均新規登録㎡単価>

<対新規登録成約率>
※当月成約件数÷当月新規登録件数

<成約価格と新規登録価格の差(㎡単価)>
※新規登録価格ー成約価格

■沖縄県 中古マンション在庫状況
<在庫件数>

<平均在庫㎡単価>

<対前月在庫成約率>
※当月成約件数÷前月在庫件数

<成約価格と在庫価格の差(㎡単価)>
※在庫価格ー成約価格

Ⅱ 沖縄県住宅着工戸数
■沖縄県貸家着工戸数
出典:国土交通省

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