【老朽化した工場・倉庫・オフィスを使い続ける理由は何か?】
これを4つの視点で考えてみます。
資金
1つ目は、資金です。建て替えや移転を検討していても、資金的な余裕がないというものです。
企業が普段使用している不動産を、建て替え・移転などすると、いくらくらいかかるのでしょう。
新しい物件:建築費用
敷地費用
設備費用・・ 等
移転中 :一時移転費用、一時移転先賃料 等
現状賃貸の場合:原状回復費用
これらを、手持ち資金(キャッシュ)と金融機関からなの融資で賄うわけですが、キャッシュがない、あるいは融資の枠がない、といったことであきらめ、現在のまま使うという流れです。
では、このような状況の時は、どんなアドバイスが良いのでしょうか?
状況
現状のビジネスの状況を考えると、仕方なく今のままビジネスを続けるということです。
「立地的にいまの場所を離れることができない」、「近年、フル稼働で、移転したくてもタイミングが良くない」のような事例が考えられます。
タイミングが悪いというのは、仕方ありませんが、立地や敷地に関することでは、解決可能なことも多いようです。
「駐車場の台数をある程度確保できれば、移転可能」
「インターチェンジ近くの土地があるなら移転したい」 といった感じです。
普段から、不動産情報をしっかりと収集し、社内で情報共有しておくことが有効です。
思い
「創業の地なので、ここを離れるわけにはいかない」 という「思い」が、移転したい方がビジネス的にはベターという「合理的な判断」を邪魔することもあります。
こうした場合は、同アドバイスすればいいのでしょうか?
情報不足
以外に多いのが、「誰に相談したらいいのかわからない」という理由で、「建て替えたい・移転したいけれどもできない」という例も多いようです。
建築会社に相談すると、「建て替えましょう」としか言わない、流通業社は建築の事が分からない、といった具合です。
また、例えば食品工場なら、食品工場独特の気を付けなければならないことがあります。このように、アドバイスする側も専門性も必要になってきます。
本土復帰してもうすぐ50年。沖縄県では1980年代に設立された企業が多く存在します。今後こうした企業等、沖縄県において、企業において代替わり(相続・事業承継)が増えてきます。また、M&Aも増えてくると思われます。一定年数ビジネスを展開した企業は、たいてい不動産を持っています。大鏡建設(大鏡CREマネジメント研究所)がこうした企業の要望に応えるような存在になりたいものです。
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長
吉崎誠二(よしざき せいじ)
(株)船井総合研究所上席コンサルタント、RealEstate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行っている。
著書は『データで読み解く 賃貸住宅経営の極意』など多数。http://yoshizakiseiji.com