【中小企業と不動産戦略】CRE(企業不動産)コラム Vol.1

【中小企業と不動産戦略】

中小企業のための不動産戦略


国土交通省等の行政機関がまとめているレポートやシンクタンクが発信しているレポートなども、その論拠となる実態調査に協力してもらえる企業のほとんどが大企業であるため、どうしても実態の把握(現状分析)から提言に至るまで、その内容は一定以上の規模の企業に相応したものになっています。たいていのCRE関連の書籍やコラム、レポートなどは、こうしたものがベースにあるため、基本的にその内容は大企業をイメージして書かれています。

しかしながら、日本の企業の90%以上は中小企業であると言われています。

沖縄県内においては、ほぼすべての企業は中小企業であり、同族企業であると言っていい状況です。

「企業と不動産の関わり」について真剣に考えないといけないのは、大企業も中小企業も同じです。

中小企業にとってのCRE戦略は、ビルや工場等を所有する大企業の行うCRE戦略と大きく異なります。
このコラムでは、中小企業、オーナー企業のための不動産戦略を中心に書き進めていきたいと思います。

不動産戦略と位置づけ


企業の不動産戦略を考えるときに大事な事は、不動産を不動産単独で考えないということです。

具体的には、経営戦略の一環としての不動産戦略であり、財務戦略の一環としての不動産戦略でなければならないという事です。
公式で書くと下記のようになります。

【経営戦略 ×財務戦略 ×不動産戦略】


中小企業の不動産戦略のポイント|大鏡CRE 企業不動産コラム

 

 

 

中小企業における資産線引きの曖昧さ


中小企業の場合、経営者(創業者)の資産と会社の資産の線引きがあいまいなことが多く、これは銀行から融資を受ける際に担保、個人保証等の事からこうした曖昧な状況が生まれていることが多いのだと推測されます。

こうした点を考えると、中小企業の不動産戦略を上手く行うことは、会社と経営者の資産の線引きが明確になり、その先にある事業承継が行われる際にも、有効な手段になりうるということになります。

増える土地を所有する法人数


土地所有法人数の推移|大鏡CREコラム 企業不動産戦略

図1は、国土交通省が平成25年(2013年)に公表した、土地を保有する法人の数の推移です。

これをみると、平成15年(2003年)から平成20年(2008年)にかけては、法人数が減っています。
当時「持たざる経営」がもてはやされた時代で、大企業中心に社宅を売却したり、稼働率の低い向上を閉鎖したり、あるいは工場を郊外に集約移転したり、さらには「使っていない土地」を売却したりして、所有する不動産の集約化が進み、コアビジネスに集中する傾向にありました。
しかし、近年では、図表でもわかるように、社宅保有の傾向が復活したり、企業が不動産投資を行ったりすることも増えてきました。

中小企業においても、遊休土地を売却するという選択を取らず、そこに例えば賃貸住宅を建てて、賃料収入を得ることで、安定した収入を増やすという方針の企業も増えてきました。

このように、現在では「持たざる経営から、稼ぐ不動産を持つ経営」への転換事例も増えてきました。